誓契

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番外編


お題 リライト
10のちいさな幸せ より

----思いがけないプレゼント----






浴室から湯気と共に出てタオルを手にする。
リビングからはルルの嬉しそうなはしゃぐ声が聞こえてきて知らず知らず顔が綻んでいく。

髪の毛や体の水気をしっかり取っているとあるものが目に付いた。


つま先をそっと伸ばしてゆっくりと降ろす。
それを両足でやりじっと動かないで体重のメモリを見る。


「5・・・・・・・5・・・5!?」
前は46キロだったのに・・・。


まぁ思えば最近は食がよく進むし、洋服から覗く手足もふくよかになった気はしていたが・・・。

「5・・・55・・・」
身長の割にはちょっと重過ぎるその数値に項垂れながら洋服を着た。





ドライヤーで髪の毛を乾かしていてあることに気付いた。
お風呂上りだからなのかもしれないが、肌がつるつるなのだ。

昔はニキビや肌荒れで酷かったのに最近は元の白い肌のまま。
しかもつやつやとしている。

触ってみるとニキビや痕の凹凸感はまったく無く、肌触りの良い、弾力のある肌。
何度もあっちこっちを向いてその綺麗になった肌を眺め回す。
痕が残るかもしれない・・・と思っていた頃が嘘の様だった。

きっと最近とてもリラックスできていて、ストレスをまったく感じさせない生活をしているからだろう。
他にもしっかりと3食摂っていることにも関係があるのだろう。

さっきまで落ち込んでいた筈なのにもうその気持ちは忘れ嬉しい気持ちで一杯だった。
















「うーー・・・」

今日は一人の寝覚め。
ぐーっと腕を伸ばし伸びをする。

いつものように爽やかな寝覚めだ。


「・・・あれ」


そういえば昔は朝は辛くて辛くて仕方が無かった。

寝てしまえばあっという間に朝になってしまう。
それに寝ても寝た感じがしなくて、気怠さが付き纏っていたのだ。
それが嫌で嫌で。

それでも寝ないといけないのに眠れない。
布団に入って1時間は絶対に眠れなかった。

しかし、最近は数分で眠れるようになっていた。


そう、いつの間にか爽快な朝を迎えるようになっていたのだ。






台所に入り、まだ朝の気配が色濃い時間帯。
底冷えする寒さに腕を擦りながら暖房を入れ朝食作りに励む。


前は不規則で昼頃起きるなんて普通だったのに、ここの所一回も無い。
しかも毎日食事を作っている為食事の腕は上がるし、二人にしっかりとした物を食べて貰いたくて色々考えて献立を作っている。
その為同じ物を食べている菊代の体も調子が良い。


「・・・・」


よく考えてみれば二人が来てからリラックスできるようになったし、よく眠れるようになった。

感情はあっても何か隔たりがあってもやもやとした物だった。
だけど心の底から嬉しい、楽しいという感情が溢れ、自然にそれが表面に出て行った。

その気持ち良さは言葉にはならない。


一人でぼんやりすることも殆ど無くなり、変なことを考えるのも無い。


二人が直接何かをした訳ではなかったが菊代は二人に知らず知らず色々な物を受け取っていた。





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