誓契

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番外編



お題 リライト
10のちいさな幸せより

---肩に掛けられた大きなコート---






こっくりこっくりと頭が上下する。
並んで座っているヒュアとヴィルリアーテ。

菊代は買い物で出掛けている為この家には二人しか居ない。


ヴィルリアーテはもう夢の中なのか、頭をヒュアの肩に預けて眠っている。
ヒュアはそれを受けながらじっと絵本を読んでいたが、次第に自分も眠くなってきた。

柔らかい日の光を薄いカーテン越しに浴びながらこっくりこっくりと頭を揺らす。


眠るもんかと思った瞬間、眠りに落ちていった。







「ん・・・・」

目を開けると白い天井が広がった。
何時の間にかソファで横になって眠っていたらしい。

体には大きなベージュのコートが掛けられていて自身の体温で丁度良い温かさになっていた。

起き上がると滑り落ちるコート。

これは菊代が出かけるときに着ていた・・・・。

それを証明するかのようにコートからは甘く、爽やかな香りがする。
この香りは大好きな菊代の香り。

何時の間にか眠ってしまった様だ。

そして、自分が寒くないようにと掛けてくれた。

その事実が分かるとふわりと幸せな感情が広がった。



「あ、起きた?もうちょっとで夕飯出来るからね」

温かなコートを膝の上で握り締め、ぼんやりと台所の方を見ると食事の用意をしていた菊代と目が合った。

菊代の傍にはヴィルリアーテが居て食器の準備などを一生懸命手伝っている。


菊代とヴィルリアーテが仲良く話し、準備するのを見ているともやもやと嫌な感情が広がる。
このまえ3人でスーパーに出掛けた時にも感じられた。

それがどういう感情なのかヒュアはまだ知らない。





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