誓契

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番外編


※流血・残酷表現があります。









やっとクェルの思いが届き、二人は正式に婚姻を結んだ。
ちなみに、母、レシーナはクェルが16歳の時、突然亡くなった。
病気も患っていない、健康状態だったのにも関わらずある日ベットで息絶えていたのを侍女が見つけたのだ。
ある噂では毒薬で死亡したとのこともあるが・・・。


アダソン家の次期当主は次男に決まっていたし、有力な貴族との婚姻関係も他の子供たちが結んでいたので、農家の娘で後ろ盾が無くともまったく反対されなかった。


結婚と同時に、領地の一部を与えられ、そこに二人で暮らすことになった。
軍人を辞め、土地を統治することだけに専念することにした。


最初は穏やかな日々が続いた。
喧嘩もしたが、それでも楽しい日々が続いた。

しかし、徐々にクェルの束縛が激しくなってゆくのにシアは耐えられなくなってきていたのだ。


基本的に一人で出かけるのをよしとしなかった。
本来ならば、自分が一緒に出掛ける時以外は外には出したくなかったクェルだったが、行動的なシアがそれに耐えられるわけもなく、侍女をつけ、時々ならば外出を許可した。

最初は渋々それに従っていたが、こっそりと一人で抜け出すことが多くなっていった。


しかし、それがクェルにバレてしまった。


クェルは大激怒し、シアに暴行を加えた。
泣きながら許しを求めたシアだったが、暴力を揮う腕の力が弱まることは無かった。

それからは一切シアが自分以外の者と出掛けるのを禁止した。

最初は暴力が怖くて大人しくしていたが時間が経つにつれて恐怖が薄れ、シアは抗議し、喧嘩が増えつつあった。
時には身体・性的暴力にも発展し無理やり黙らせたクェル。

しかし、シアへの愛情は薄れはしなかった。
それどころか、日に日に増していた。


愛しいゆえに誰にも見せたくない、閉じ込めておきたい。
大切に自分の腕の中だけで慈しみ、生きて欲しい。

そして、シアが、自分の大切なシアが誰かに惹かれてしまうのではと怖かった。
自分はシアに苦を強いてることは理解していたのだ。
しかし、止めることは最早無理だった。




嫉妬も激しく、男性の執事や料理人と話しているだけで、その相手は解雇だった。

酷い場合は暴力をふるった。
終いには男性と話すのも禁じられた。


まだそれは我慢できたが、外に出掛けるのを禁止されたのは相当堪えた。

勿論シアは大人しい女性では無いので、耐えられない。
また脱走を試みたが、あえなくバレ、軟禁状態になってしまった。


屋敷の奥に数人の侍女に囲まれ大人しく過ごす日々。
シアの苛立ちは日に日に溜まっていった。
時にそれが爆発して日頃溜まっていることを吐いても聞き入れられることは無かったが。


シアは農家の娘で花を育てるのが好きだった。
屋敷内でできることなので、それは許可されていたが、ある日シアが棘のある花を手入れしていた時。
指先に棘が入ってしまったことがあった。

それを知ったクェルは屋敷に植わっていた棘のある植物を全て燃やした。
勿論シアが丹念に育てていた花も。

それどころか、シアが庭の手入れをするのも許さなかった。

唯一の楽しみを奪われてしまったが、非力な女の力ではどうすることもできない。


それにあまりに反抗すると、シア自身だけでなく、シアが仲良くしている侍女にまで暴力の魔の手は伸びたのだ。



外に出るときは森の郊外や人払いをした高級なお店。
庶民で、人ごみが好きだったシア。
こんな外出が楽しめるわけが無かった。





クェルが22の時、当主であった父が逝去し、当主が上から二番目の兄に変わった。

新しい当主が主催したパーティーが催されアダソン家の一員であるクェルも出席しなければならないことになった。
人ごみで、若い独身貴族の男も沢山いるパーティー。
既婚者ならば、パートナーを連れて行くのが常識。
だが、そんなところに大事なシアを連れて行くのは勿論嫌だったが、シアが行きたいと懇願するのでシアも連れて行くことにした。
堅苦しい貴族のパーティーだが、ここ数か月は外に出してもらっていなかったシアは何でもいいから外に出たかったのだ。



会場は当主の屋敷。
道中はシアが久しぶりの遠出に大いに喜んだ為、クェルは嫌だったが連れてきて良かったと思った。
ここのところ笑顔を見せてなかったシアの喜ぶ顔を見れただけで十分だった。





豪華絢爛なパーティー会場。
兄弟の仲でも優秀なクェルは客たちの中でも人気者で、挨拶と世間話をする人は途絶えなかった。


シアが分からない専門的な話を始めてしまい、クェルは客人たちに会場の隣に設えた談話室に連れて行かれてしまった。

そしてシアは一人で慣れない会場におろおろ・・・などしていなかった。

クェルの監視が無いのを大いに喜び、これ幸いとおいしい料理を頬張った。






すぐにクェルは男性たちの話の輪から外れシアを探していた。
クェルが見つけたのは椅子に座って俯く愛おしい妻の姿。

慌てて駆け寄り、顔を覗き込むと目が潤み赤く充血していた。
慣れない場所で一人になり、怖かったのだろうと離れたことを深く謝ると同時に反省し、その日は早々に部屋に戻った。

パーティーは1日だけでなく3日間開催され、クェルとシアは2日間だけ参加して、3日目は出席せず、帰った。



パーティーはいい刺激だったのか、シアは大層嬉しそうにパーティーについて語った。
あれが美味しかった。
あの娘さんが綺麗だった。
あのドレスが変わっていた。
など興奮気味で話していた。



パーティーから帰ったあとはいつも通り。
屋敷に閉じ込められ、人との関わりも極力断たれた生活だった。

しかし、あれほど不満を言い、苛立っていたシアが大人しく屋敷内に留まる日が続いた。
クェルはそのことに凄く喜び、楽しく充実した日々が久しぶりに訪れた。






その日はクェルが仕事で他領に出掛けている日だった。
さっさと仕事を終わらせ、予定より3日も早く帰れそうで、嬉々としていたクェルのもとに一人の女がやってきた。

その女はクェルの側近で、普段はシアの侍女を務めている女、メロウだった。
蒼褪めた彼女の顔を目の端で確認すると溜息を吐きながら荒々しくコートに腕を通した。
「なんだ、俺は早く帰りたいんだが。愛しいシアに一刻でも早く会いたいのだ」
「恐れながら主様。これを・・・。落ち着いて、落ち着いてお読みくださいませ」
そう言って厳しい表情で差し出されたのは一枚の手紙。
桃色の可愛らしい封筒だった。

「シアが俺の不在に我慢できずに手紙でも出したのか。シア、可愛いなぁ」
「・・・・」
メロウは返事をせず、目を閉じじっと待っている。

ナイフで丁寧に開けるとそっと便箋を取り出した。


甘くとろけていた表情は中身を読んで一変する。


「『早くあなたに会いたい。あなたに会えない日々は何よりの苦痛よ・・・・セルジオ』」
「主様・・・」
「・・・誰だ?セルジオというのは?」
あまりに冷たい瞳の奥底に激しい感情の渦を見たメロウは慌てて目を伏せる。
殺気を全身で感じながら、卒倒しないように足に力を入れた。





そこに頻繁に出てくる名は夫の自分ではなく…見知らぬ男性の名。
否・・・どこかで聞いたことのある男の名。
聞いただけで胸糞悪くなる男の名。



クェルが手に力を込めると手紙が無残な形になる。



「セルジオ・アダソン。主様の兄妹でおられます、上から5番目、メルシーレ様の旦那様であり、中流貴族ゴルデクーノ家の3男坊でございます。
アダソン家に婿に入った為、アダソンの苗字になり・・・・。
・・・・・シア様との縁談が持ち上がっていた人でございます」


そうだ思い出した。


愛おしい愛おしいシアを奪おうとした男の名だ。







メロウの話によると、1年ほど前にあったアダソン家当主のパーティーで二人はばったりと会ったらしい。
セルジオはシアがクェルの妻になったことは知っていたが、シアはセルジオが自分の夫の義姉と結婚してるとは知らなかった。


ちなみにシアの母は嫁ぐ前は下級ながら一応貴族の娘で、セルジオの母と幼馴染だったのだ。
そして、シアとセルジオは小さいころから貴族と平民という隔たりがあったのにもかかわらずよく遊んでいて、幼馴染のようなものだった。


それで、シアの母がシアが嫁ぎ遅れていることを愚痴ったらセルジオの母も、セルジオが嫁ぎ遅れていることを愚痴り、ならば結婚すればいいのでは?
となり、シアとセルジオの婚約の話が持ち上がったのだ。
ゴルデクーノ家は貴族ではあるが、気質が平民みたいで、驕り高く無く、誰にでも優しい気質でも有名だった。
あまり位とか家とか気にする家柄では無かったのだ。



そしてまさか知り合いに、しかも仲が良かったセルジオにパーティーで会えるとは思っていなかったシアは涙を流してしまい、今の状況を吐露した。
心優しいセルジオはそれを聞いて心配してくれた。

しかし、いつクェルが戻ってくるかわからないので、取あえずこの場は離れて文のやりとりを約束した。
そして離れてすぐクェルが帰ってきたのだ。
泣いていたのを誤解してくれてシアは凄く安堵していた。



文のやり取りは難しいかと思ったら意外と上手くいった。
一番仲の良い侍女にこっそり出してきてもらっていた。



セルジオはシアの今の状況を聞いて心配と同時に怒ってくれた。
そしてセルジオも妻のメルシーレとうまくいってないことを手紙に書いていた。




そんな二人が惹かれあうのは時間の問題だった。



二人は手紙のやり取りだけだったが、惹かれてゆき、恋に落ちた。



書面だけではなく、実際に会いたい。



そしてその会う日にちは・・・・。

















庭に作られた屋根のある四阿で頬を染めてセルジオとかいう男と話している姿を見つけた。
音も気配も感じさせず近づいていく。


「本当に会えてよかった」
隣に座っているセルジオに凭れかかるとそっと瞳を閉じる。
体に回される腕を感じる。
「うん、すごく楽しい・・・」
「離婚できればいいのに・・・」
「無理だよ、お互いにね」
「でもあたしもうあんなに縛りつけられるのはもういやだっ」
「シア」
「セルジオ・・・あたし、あたし・・・無理だったのよ。そもそもあの人を男として見るなんてやっぱり無理だったのよ」
「俺だって・・・もうこんな生活は嫌だ。妻は典型的な貴族の女性。平民気質の俺とは合わないんだ」
「セルジオ、あたし愛してるわ。あなたを愛してる」

その時の俺の心情は言葉にはできない。

愛し合っていたと思っていたのに。
すれ違っていながらも、愛はそこにあったと思っていたのに。


思いが通じ合ったことなんて無かったのか。





シア



君は俺のもの。

からだもこころもそんざいもおれのもの。



わたさない。





「楽しそうだねシア」
いつの間にかベンチの後ろに立っていたクェルに気が付いたシア。
振り向いたまま硬直し、目の端が切れるのではと思うと度見開き、青ざめていた。
しかしそれはセルジオも同様だった。

「い・・・いつ・・・から」
「さぁ?」
「ち、ちがうのよ。ちがうのよっ、この人は・・・」
「シア。愛おしいシア」

クェルはそっと手を伸ばし、頬を撫でる。
その頬は涙で濡れていた。
そして震えていた。

「シア、俺は君のことを心の底から愛しているんだ」
「クェル様・・・」
「俺は君の幸せを大切にしたいと思っている。君がこいつを好きというのも分かってしまった」

ベンチに手を置き身軽に飛び越える。
目の前に立ち、座っていたシアの腕を優しく引き、抱きしめる。
そして離すと顔を近づけて囁いた。


「だからシアの目の前で殺してあげる」







甲高い女性の悲鳴が上がる。
セルジオは逃げようとしたが、捕縛の術で四肢の自由を奪われ、無様に転がる。

狂ったように笑うとシアにも術を掛け、動けなくしてからベンチに座らせた。

がくがくと震えるシアの頭を撫でて甘い声でゆっくりと語りかける。

「シア、シアは悪くない。全てたぶらかしたこの男が悪い。
シアの心を盗んだこの下郎が悪いんだよシア。
だから大丈夫、俺が、泥棒をこらしてめてあげる」

叫びながら芋虫のように体をくねらせていたセルジオを足で蹴って四阿の外に出す。

腰に佩いていた剣を抜くとセルジオの頬にぴたりと押し当てた。
するとセルジオは動くのを止めて口も閉ざした。


「動くと口が大きくなるぞ下種」
シアに話しかけていた甘みのある優しい声音からは想像もつかない声だった。
シアに怒るときでもこんな恐ろしい声と形相はしなかった。

クェルは本気だった。


「どうやって懲らしめてあげようか?
何が良い?シア?
君の大切な心を奪ったんだ、好きなように嬲っていいんだよ」
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさいっ!」
「あぁ、シアそんなに泣かないで。可愛らしい顔が台無しだよ」
「許して、その人は見逃してあげて、お願いしますっ」
「シアは優しいね、大切なものを盗んだやつにも情けを掛けるんだね。
シアの前で汚らしいものを見せるのはとてもつらいけど、盗んだものが返ってくるにはきっと目の前で見た方が実感するよね?・・・・・・・・・・・・・・
「っ!?」
「大丈夫シアの目の前だから特別にそんなに苦しまないで殺してあげる」
「いやぁあああああ!やめてっ!いやだぁあああ!」
「ははっははは」



シアの大事な心を持って行くなんて。

愛おしいなんて許さないよ。


シア。










「ん?動かないな。根性のない男だ」

血だらけの肉塊となった男から剣を抜くと振った。
べっとりと付着していた血が芝生の上に飛び散る。
「いやぁあああ!!」
「シア、君の大事なものを奪った奴はもういないよ。
汚いものを見せてごめんね。
君のためなんだ」


そう言ってクェルは剣を足元に落としてシアの術を解く。

シアは立ち上がるとよろけながらも駆けだした。


クェルは疲弊しきったシアを抱きしめる為おもむろに両手を広げて抱きしめる準備をした。


しかしシアが駆け寄ったのは足元に転がるセルジオだった。






「セルジオ!セルジオっ!!」
膝を付き、深い傷のせいで千切れそうになる体を厭いもせず抱き寄せた。
「シ・・・ア?なんで?」
「いやぁあああ!セルジオ!」
「シア、シア。シアっ!?」
何度呼びかけても、シアはクェルに反応を示さなかった。

というより、本当にシアの意識の中にはクェルが入ってなかった。


何度クェルが呼びかけても、セルジオを掻き抱いて涙を流すシアには届かなかった。
シアはセルジオを感じていなかった。




そっか。
そうか。

シアの体の中にもう、盗んだ後にあいつの傷が残ってしまっているんだ。

そうか。
そうか。


なればその傷を取り除かないと。



セルジオが奪ったものは戻ってこなかった。


それどころか、セルジオを弑したことにより、シアの中にセルジオが深く刻み込まれてしまった。







「愛してるんだ、シア」
クェルは手放した剣を拾うとシアを蹴り上げた。
塊を手放したシアは倒れると激しく堰き込む。


シアのことをどんなに愛しているか教えるために、断腸の思いで暴力をふるったことはあったが、刃物を扱うのは初めてだった。

方術で肢体を地面に縫いとめ、その上に馬乗りになる。
恐怖と怒りと悲しみでぐちゃぐちゃになったシアの表情を堪能しながら、柔らかな脇腹に穂先を埋めてゆっくりと押し込む。




「いた・・・い!いたいぃぃいいい!」

痛い思いをした者はたいてい二つの反応に分かれる者だ。
痛さに声も出せないもの。
叫び、痛みから逃れようとするもの。
俺は後者が好きだし、愛おしいシアは後者だった。


「シア、愛してるよ、シア?そうだろう?」
「ちが・・・ちがっ・・・」
「愛してるよね?」

袖に仕込んでた短刀を掌に落とす。
地面に縫いとめられた手からは血が溢れる。

「す・・・すきぃいい!好き!好き!!!」
「好きかぁ。その響きも愛らしくてかわいいけど。愛してるの方が俺は好きなんだよね」
短刀を引き抜くと、血が糸を引いた。
シアの血で染まった刀身を舐めてみると、なんだかとても甘かった。


綺麗に自分の舌で刃を拭うとその短剣でドレスを裂き、裸体にした。

日の光を浴びてシアの体はすごく美しかった。
思わず我慢できなくて形の良い乳房にしゃぶりつく。


噛みついたままクェルは喋る。

「シア?愛してるよね?」
短剣を胸の付け根に滑らせると刃が通った後から血がにじみ出た。
それを舐める。

「あ・・・ああああ・・・愛してます!あい・・し・・てますっ!」

そういえばシアは、俺がどれほどシアを愛しているのか。
シアをどれほど思っているのかを教え諭せば俺のことを愛してると言ってくれるんだったなぁ。



強く乳房を噛むとシアはより一層叫んだ。


「愛してるぅっ!!」

「もっと・・・もっと・・・」

「愛してます!あいしてるっ!!」

「あぁ、俺も愛してるよ、シア」


















気付いたら裸身で血で真っ赤に染まったシアを眺めていた。

ひゅーひゅーと呼吸をしているのが聞こえるのでまだ息の根はあるのだろう。

はやく・・・傷が膿んでただれる前に・・・傷を取り除かないと。



ん?


傷を取り除いても、傷が残るのには変わらないじゃないか。

あぁ、まぁいいや、それは俺の傷。

おれのものだからべつに良いんだ。



「・・・る・・さ・・・・・い」



ん?

シアどうしたんだい?




「ゆるさ・・・ない・・・」
「違うだろう?シア、そんな言葉は望んでないよ?」


ぐっと首を絞める。


舌がでろりと垂れ、白目をむく。


「シア、君の愛らしい声で行っておくれ。さぁ」
「う・・・ぇ・・・・」

大きく開かれた口からは泡だったよだれと、言葉の断片だけが零れる。

「はやくシァ・・・いっておくれ?」

クェルはシアの言葉が恋しくて手に力を入れる。
先程はあんなに言ってくれたよね?


びくびくと痙攣するが、力を緩めない。


「シア、はやく、愛してると言っておくれ」
「・・・・・ぅ・・・ぁ」



そしてシアは動かなくなった。
急激に体温が下がり、体が硬化していく。


しかしクェルは手を離さない。



「愛してる、愛してるよシア。俺は心の底から君に惚れているんだシア」



首の骨は折れ、不自然に曲がる。


濁ったクェルの瞳はシアを見ていたが、捉えてはなかった。





「シア・・・。シア・・・・愛してる、シア。永遠に愛してるよシア。」



























シアを自身の手で葬った1年後。
軍に復帰した彼は、戦等の前線に自ら赴き、数多の命を屠った。
しかしその大半は戦に巻き込まれた村のなんの罪もない10歳から20歳の少女であった。

方術の名手だった彼は尋問も行った。
確かに情報は必要以上に聞き出せたが、居合わせる軍人が倒れるほど惨たらしい尋問であった。

そして彼は自身の手で声を上げさせるのがとても大好きだった。






32歳になったクェルは上司であったリスティツィーオという男から解雇を言い渡され、シアを葬った屋敷に引きこもるようになっていった。














あとがき


やっと書き終えました。
本当は箇条書きっぽくして説明だけでもいいかなとも思ったのですが・・・
どうせならと、小説にしました。

最後の方はもう狂ってしまって道理が通じませんので、変なところがあっても気にしないでください。


シアが愛していない、愛せなかったと言っているのは。
結婚を承諾した時も別にクェルのことを好きでは無かったんです。
でも、どうせ自分はクェルの手から逃れられない。
それに結婚したら愛情が湧くかもしれない。
と思って結婚を承諾したのですが・・・・結果は親愛のままだったんですね。
しかもそれも時間が経つにつれて薄れてしまいました。


余談ですが
シアとクェルが性交渉をしていながら、子供の存在が皆無だったのは
いかなる存在にもシアを奪われたくなかったクェルがこっそりと避妊剤をシアに飲ませていたせいで懐妊しなかったのです。

あと、セルジオの親類にセルジオの妻でクェルの姉、メルシーレ。
そしてシアの手紙をセルジオに届けた侍女とその家族。
不審死で皆死亡しました。
不審死ということになっていますが本当は・・・・・・・・。



年をとっても求め続けているんでしょうね。
痛めつければ愛おしいが聞けるから。





とても重い話でしたが、ここまで読んで下さりありがとうございました。




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